映画 となりのトトロ ネタバレ考察 メイのサンダル 謎の女の子 トトロとネコバスの正体 公式続編「めいとこねこバス」 千と千尋の神隠しとの関係 テーマは生と死

2020年8月14日の金曜ロードショーで放送の映画「となりのトトロ」のネタバレ考察をご紹介します。

 

噂されている謎、公式の裏設定、トトロの正体、続編、ジブリの他作品との関係、作品に込められたテーマについて検証しました。

 

 ※誤って今回の映画「となりのトトロ」のネタバレ考察記事に来てしまった方、ネタバレや考察自体が苦手な方はお戻りください。

 

「となりのトトロ」登場人物  声優

サツキ(草壁サツキ) 声 – 日高のり子

メイ(草壁メイ) 声 – 坂本千夏

お父さん(草壁タツオ) 声 – 糸井重里

お母さん(草壁靖子) 声 – 島本須美

トトロ(大トトロ) 声 – 高木均

ネコバス 声 – 龍田直樹

おばあちゃん 声 – 北林谷栄

カンタ(大垣勘太) 声 – 雨笠利幸

カンタの母 声 – 丸山裕子

カンタの父  声 – 広瀬正志

学校の先生(森山玲子) 声 –  鷲尾真知子

草刈り男 声 – 千葉繁

本家のおばあちゃん 声 –  鈴木れい子

農作業車に乗っていた女(リョウコちゃん)  声 – 水谷優子

女の子 声 – 大谷育江

役不明 声 – TARAKO

 

 

「となりのトトロ」あらすじ

小学生のサツキと妹のメイは、母の病気の療養のため、田舎のお化け屋敷のような家へ移り住む。

ある日、メイは森で不思議な生き物「トトロ」と出会う。

父が言うには、トトロは森の主で、いつでも会えるわけではない貴重な体験をしたのだと伝えられる。

 

それから数日後の雨の降る晩、バス停で父の帰りを待っていたサツキとメイは、大きな葉っぱを頭にのせたトトロと出会う。

メイがトトロに傘を貸してやると、お礼に木の実を差し出し、やってきた猫バスに乗ってどこへともなく行ってしまった。

 

トトロからもらった木の実を庭に埋めて育て始めたサツキとメイが、夜中に目を覚ますと、トトロたちが庭で不思議な踊りを踊っていた。

すると、木の実から芽が生え、サツキたちも踊りに加わると、は見る見るうちに大樹へと成長。サツキたちはトトロと一緒に空飛ぶコマにのってオカリナを吹いて遊ぶのだった。

翌朝、大樹は消えていたが小さな芽が出ているのを見つけ、昨夜の出来事は夢ではなかったと二人は喜ぶのだった。

 

それからしばらくたったある日。母の体調が悪化したとの知らせを受けたサツキは、一時退院が伸びてしまったことに不満を漏らすメイと大ゲンカをしてしまう。

メイの前では気丈にふるまっていたサツキがおばあちゃんの前で泣き崩れているのを見たメイは、母を元気づけようとトウモロコシを届けに一人で病院へ向かってしまう。

 

いなくなったメイを村中総出で捜索する中、池からメイのものと思しきサンダルが見つかる。

それはメイのものではなかったが、行方はようとして知れず。思いつめたサツキは、一縷の望みをかけてトトロにメイの元へ連れて行ってほしいと願う。

その願いが叶い、トトロと再会したサツキは、トトロが呼んだ猫バスにのって、地蔵のある辻で座り込むメイの元へたどり着く。

さらに、母が入院する病院へ連れて行ってもらった二人は、窓の外の木の上から父と笑って話す母をみて安心し、おかあさんへと書いたトウモロコシを置いてくるのだった。

 

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「となりのトトロ」ネタバレ考察

※ストーリーの結末に触れる部分がありますので、ネタバレしたくない方は読まないでください。

 

ポスター謎の女の子

最近、「となりのトトロ DVD」で検索して表示される画像に、謎の女の子が映っていると話題です。

これがその画像です。

  

サツキとトトロが初めて対面するお馴染みのシーンですが、別の女の子が映っています。

服装はサツキですが、年のころは同い年か少し下くらい。髪型はメイに似て二つくくりにしていますがメイとも明らかに別人ですね。

この女の子は一体誰なのか。そもそもこの画像って公式ではないのではないか、という疑問があります。

 

その答えはこうです。

 

もともと、「となりのトトロ」が製作され始めたとき、主人公の女の子は一人でした。

当初、となりのトトロは、この女の子とトトロの物語として作られていたのです。

 

しかし、製作途中で映画の上映時間が60分から80分に拡大されることが決まり、脚本を

作り直す必要が出てきました。

そこで宮崎駿監督は、主人公の女の子を姉妹に分け、エピソードを追加することで20分を稼ぎ出しました。

つまり、この画像の女の子は、最初の原案にあった主人公の女の子だったというわけです。

 

そして、最近ではファンへのサービスの一環として様々な制作物の公式画像としても使われるようになったんですね。

ただ、そういった裏話を知らない人からしたら、これって偽物なんじゃないの?という不安を抱かせることになってしまっているのかなと思います。

 

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サンダルの謎

メイがいなくなったときに池からサンダルが見つかったことで、メイが池でおぼれて死んでしまったのではないかと大騒ぎする一幕があります。

「となりのトトロ」で最も緊張感が走る名場面です。

 

このとき、サツキが現物を確認してメイのサンダルではないとはっきり否定することで最悪の事態は免れたとホッと胸をなでおろすのですが、視聴者の中には、「あれはサツキの勘違いでやっぱりメイのサンダルで、実は死んでいた」「死んでいたから猫バスに乗って母親の病院まで行くことができた」という解釈をする人も出てきているようです。

 

なぜこのようなことを言い出す人が出てきたのか、その理由の一つが、メイのサンダルが迷子の前後でデザインが変わってしまっていることがあげられます。

迷子の前と後で、いきなりサンダルのデザインが変わっていたらおかしいですよね。

サンダルが変化しているのは、メイの死を暗示しているのだ、という風に解釈できるというわけです。

 

 この解釈を詳しく検証してみます。

 

まず、メイが迷子になる前に履いていたサンダルのデザインは、全体がピンク色で、足の甲の部分がカタカナの「エ」のような形になっているものでした。

家の玄関でメイがサンダルを脱ぎ着しているシーンで確認できます。

 

しかし、サツキに発見されたシーンでメイが履いていたサンダルは、色はピンクですが足の甲の部分が1本の生地で留められているタイプのものでした。

確かに、デザインが変わっています。

 

一方、池で見つかったサンダルは、色はピンク、足の甲のところで二本の生地がクロスした形になっており、そのクロスの中心にお花の飾りがついています。

これは、池に駆けつけたサツキに、おばあちゃんがサンダルを差し出すシーンではっきりと描かれています。

メイが迷子になる前に履いていたサンダルととても良く似ていますね。

 

どうしてこのような演出をしたのか、その回答と思われる内容をジブリ公式が出しています。

 

それは、サンダルについてではないのですが、「迷子の前後でメイとサツキの影を描くのを辞めているのは、実は死んでいるからではないか?」という視聴者からの問いに対するジブリ公式の回答内容で説明がつくと思われます。

 

その公式回答では、影を描かなかった理由として「わざわざ描く必要がないと思ったから」という回答がされています。

つまり、「影がないから実は死んでいる設定です」とかそういう意図はないということです。

ということは、サンダルのデザインが迷子前後で変化しているのも、単純に細かいデザインを描写する意味がないと判断し、簡略化したデザインに変えてしまったからということで説明がつくと思われます。

 

というわけで、サンダルのデザインが変化した謎は解明されましたね。

 

こう言ってしまうと拍子抜けしてしまいますが、ただ、実は公式の設定で「となりのトトロ」には「死」を連想させる設定はちゃんと存在しています。

それについては、次の「トトロとネコバスの正体」の項でご説明します。

 

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トトロとネコバスの正体

「となりのトトロ」には本編では語られていない裏設定を描いた続編が存在します。そこには、トトロやネコバスの正体と「死」にまつわるエピソードが語られています。

 

よく都市伝説でトトロには原作小説があり、「死んでしまったメイを生き返らせるためにサツキがトトロに頼んで黄泉の国からメイを連れて帰るストーリーだった」というようなことが言われていますが、これは真っ赤な嘘です。

 

れっきとした続編には、宮崎駿監督が描きたかった本当のトトロの世界についての裏設定が語られています。

 

その続編というのは「めいとこねこバス」というアニメ絵本です。

 

 

 

これは、三鷹の森美術館で上映されている映画で、パンフレット絵本としても制作されています。

たった数分間の短いストーリーですが、本編では語られていなかったトトロの正体にまつわる非常に重要な裏設定がネタバレされています。

 

その裏設定とは、「ネコバスが、お化けを極楽浄土へ連れて行くための乗り物」だということ。

そして、「トトロは、ネコバスへとお化けたちを案内する案内人」だということです。

 

サツキたちとトトロが出会った森のバス停は、お化け(死後の世界の住人)と現世の生き物をつなぐターミナルの一つだったということになりますね。 

つまり、トトロやネコバスは「死」に近い存在で、この世とあの世の中間に存在する生き物だったわけです。

 

こういう設定があるからこそ、メイやサツキが死んでいるといった都市伝説が生まれてしまったのではないでしょうか。

 

ちなみに、この映画「めいとこねこバス」でトトロの声を担当しているのは宮崎駿監督だそうです。

 

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トトロと千と千尋の関係

ジブリの映画「千と千尋の神隠し」と「となりのトトロ」にはいくつか共通するシーンが登場します。

そのため、「千と千尋の神隠し」と「となりのトトロ」は世界観が共通している、と解釈する人もいるようです。

 

例えば、さきほどのメイのサンダルにまつわる話ですが、同じようなシーンが「千と千尋の神隠し」にも登場しています。

 

それは、千尋が琥珀川でおぼれそうになったというエピソードです。

この時、千尋の脱げた靴が川に浮いているというシーンがありました。

浮いていたのはサンダルではなく靴ですが、色はピンクで右足だという共通点があります。

 

また、トトロに会うために森のトンネルを抜けていくという描写は、千尋と両親が道に迷ってトンネルをくぐった先に湯婆婆の温泉街があったという、「トンネルが異世界と現世をつなぐ役割」という設定が同じです。

 

トトロという自然界に存在する妖精とも神ともいえるような生き物が登場するということも共通しています。

サツキとメイの家にいた「まっくろくろすけ(ススワタリ)」は、そのまま登場していましたし、湯婆婆の湯屋を訪れる客は、自然界の八百万の神々で、そこで働かされていたハクも琥珀川の化身でした。

 

トトロの住む森には大きな楠木があるので、トトロはその楠木の化身だったのではないかという解釈もできると思います。

トトロが湯婆婆の湯屋で温泉に浸かってほっこりしているシーンがなんとなく目に浮かびますよね。

 

また、千尋が銭婆のところに行くために乗り込んだ電車には、お化けのような黒い影が乗車していましたよね。

途中、「火垂るの墓」の節子みたいな女の子の影を目撃するちょっと怖いシーンのところです。

あれは先ほどお話ししたネコバスが極楽浄土へお化けを連れて行くためのバスである、という設定を、電車に置き換えていると考えられ、これも共通している部分だと言えそうです。

 

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テーマ「生と死」

これまで書いたとおり、「となりのトトロ」という作品には製作者側の意志として、視聴者に「生と死」というものを意識させようというメッセージがこめられていると私は解釈しています。

 

例えば、サツキとメイの母親が結核で死にそうだという設定もその理由の一つです。

 

母親が結核だというはっきりとした描写はありませんが、1950年代の日本で、田舎の隔離病棟で療養しなければならなかった病気と言えば結核です。

 

結核の恐怖については、別のジブリ作品「風立ちぬ」でも描かれているとおり、当時は特効薬のない死の病でした。

 

ちなみに、お母さんが入院していた病院の名前「七国山病院」は、冥界にあるという「六道」の先の「七の国=極楽浄土」を想起させますし、「ひちこく」という読みは、スリラー映画の巨匠、アルフレッド・ヒッチコックを想像させ、なんとも不安をあおるような名前ですよね。

 

また物語の序盤では、サツキはお母さんが結核で死んでしまうかもしれないという恐怖を心のどこかに抱えながらも、そのことを周囲に見せないよう元気に明るく過ごそうとしています。

 

そんな中、お母さんの容態が悪化したという知らせが入り、サツキはそれまで蓋をしていた「死」に対する恐怖で押しつぶされそうになってしまいます。

メイの前では気丈にふるまっていても、カンタのおばあちゃんにすがりついて号泣してしまいましたよね。

さらに、メイが迷子になって池で溺れたかもしれないということになり、いよいよ「死」が現実のものとして自分の身近に迫ってきてしまいます。

 

この時、サツキはメイを「死」から救いたいという強い思いに駆られ、その手段として思いついたのがトトロだったというのは単なる思い付きではないような気がします。

 

トトロは、一夜にして小さな種を芽吹かせ、巨木にまで成長させるという生命力の神秘を見せてくれた存在です。

サツキにとってトトロは、いわば「死」とは真逆の「生」を想像させる存在なので、「死」に対抗する手段として無意識のうちにトトロのことを閃いたのではないでしょうか。

 

 

このとき、おばあちゃんがサツキにかけた声が聞こえていなかったのは、サツキ自身がトトロと近しい存在、生と死の狭間の世界の入り口にすでに入り始めていたからではないかとも思えます。

 

トトロとネコバスの力を借りて、メイは無事に見つかり、また母親も結核が快復に向かって自宅療養になっていることから、サツキの周りに漂う死の気配は消えて、ハッピーエンドで物語は終了します。

しかし、一歩間違えれば二人とも死んでいたかもしれないということ、死は自分たちの近くにそんざいしているということを、視聴者に訴えたかったのではないかと思います。

 

この「生と死」というテーマは、のちにジブリ最大のヒット作となる「もののけ姫」のメインテーマとして取り上げられることになったのは皆さんご存知の通りだと思います。

 

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